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杏が熟れて落ちるのか
月夜の畑に音がする。
草木も眠った夜中ごろ
誰も知らない音がする。
    (島木赤彦)




静寂は一日中の贈物である。
その贈物の素晴らしさに、私は不便、という言葉を忘れた。

豊かさとは何かを考え続けている暉峻淑子が、30年以上前に呟いていた沁みる言葉です。





都会の人にこの感覚わかるかな〜


といっても、この月夜野の山奥でさえも、ほんとの静寂の時間というのは稀なものです。



でも、昭和の半ば、世の中に蛍光灯の明かりや自動車というものが、日本の隅々まで普及するまでは、一日の半分を占めていた夜とは、このような静寂がどこにも存在していたということを、いったいどれだけの人が想像出来るでしょうか。