「月夜のタヌキ」プロジェクト

物語のいでき始めのおや 〜月夜野アーカイブ〜

「物語のいでき始めのおや」とは、源氏物語のなかにでてくる竹取物語のことを指したことばです。わたしたちは、「月(ツキ)」と「運」だけで勝負できるまち月夜野から、たくさんの物語の生まれるこの地の風土を発見し、また育てていくことを目指しています。 (「みなかみ〈月〉の会」と「月夜のタヌキ会議」による共同ブログです)

カテゴリ:こころの月百景 > 月夜野百八燈

今日は久しぶりの青空。

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アオサギも飛んでいました。

無風状態でもゆっくり滑空できる姿は、ワシやタカ以上に優雅。

大きさの割に体重も軽いのでかなりの省エネ設計です。





今夜は月も見れるでしょうか。

六日月は上弦の月の直前の形です。

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      もし見えればこんな形ですが、現在は薄く雲がかかってしまってます。

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      此ほたる田ごとの月にくらべみん    芭蕉






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一応、試験点灯をしてみました。
(というか、明日からの日程を今日からと勘違いしたのですがw)

これまでとても暗かった山道に
ほのかな明かりを灯すことができてほっとしました。

月夜野百八燈 改訂




今年はほんとうに早いようで、

嶽林寺前では既にたくさん見ることができました。

発生状況


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ホタル観賞の案内はこちらのサイトをご参照ください
月夜野ホタルの里の見頃や時間帯は?混雑予想や駐車場情報も!


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「月夜のこころ百景」の中でもお気に入りのひとつ

他人はおそろし、やみ夜はこわい
親と月夜はいつもよい


これは子守唄として歌われているものらしいのですが、
正確な出典はわからないまま使用していました。

子守唄の中でもこの表現から想像されるように、
これは親が子に対して唄うものではなく
やや年長の子ども自身が、幼い子を背負いながらうたっているものです。

年でいえば十二、三歳といったところでしょうか。

姉が妹や弟を背負うこともあったでしょうが、
「親と月夜はいつもよい」という表現は
むしろ幼くして奉公などに他所に出された子どもが
他人の子供をあやしながら親もとに早く帰りたい、
家に帰りたいとの寂しい心持ちを吐露してうたっているものです。

きっと多くは子どもの即興で
様々なバリエーションでうたわれていたことでしょう。


この歌が広く全国に知られるようになったのは、
おそらく下の写真、柳田國男『火の昔』の中の冒頭
「やみと月夜」で取り上げられたことによるのではないでしょうか。

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本書が出たのは昭和18年
本土空襲が本格化するのは翌年末からですが、

闇と明かりの歴史を語る本書は、
灯火管制が強まる時期に、闇夜の怖さや
学童疎開が増える時期にひとしお
当時の人々に深く受け入れられたことと思います。

現在は、写真と同じ角川文庫で新装丁のものが出ています。




でも原曲の全歌詞はどうなっているのかと検索してみたら
なんと・・・・



今朝の寒さに 親なら子なら 行くな戻れと ゆてくりょに
 他人おそろし 闇夜はこわい 親と月夜は いつもよい
 おどんが死んだら 誰が泣いてくりょか 前の松山 蝉が鳴く
 蝉じゃござらぬ 妹でござる 妹泣くなよ 気にかかる
 おどんがごたってにゃ もの言うな名言うな 情けかくるな 袖ひくな
 情けかくっちゅうて 籾のぬかかけて さまの情けは かゆござる
 こんな所に なぜ来たしらぬ 親が行くなと 止めたのに
 親はどこかと 豆腐にきけば 親は畑に 豆でおる
 おどんが父さんな 桶屋でござる 朝はとんとことんとこ 輪をたたく
 ねんねした子に 香箱七つ 起きて泣く子に 石七つ
 あの子にくらし わし見て笑う わしも見てやろ 笑てやろ
 あの子偉そに 白足袋はいて 耳のうろに あかためて
 山でこわいのは さるとりいばら 里でこわいのは 守りの口
 おどんが憎けりゃ 野山で殺せ 親にそのわけ 言うて殺せ
 おどんがこの村に 一年とおれば 丸木柱に 角がたつ
 丸木柱に 角がたつよりも 早くいとまが 出ればよい
 おどんがおればこそ こん村がもむる おどんが行ったあとで 花がさす
 花は咲いても ろくな花はさかん 手足かかじる いげの花


  四浦春山の子守唄です。
全国的にうたわれている「五木の子守唄」はこの唄が原曲となっていると言われています。
(ねんねこ通信79号 より
http://komoriuta.cside.com/nenneko/nekoview.cgi?mode=V&num=82

 



「五木の子守唄」の原曲がとても深い悲しみに満ちたものと聞いてはいましたが、
この詩を見てしまうと、悲しいイメージばかりが
とても重くのしかかってきますね。

それだけに闇が深ければふかいほど、
ほのかな明かりに感じるあたたかさが際立ちます。



余談ながら「さるとりいばら」って、よく服にからみつく厄介なものですが、
そんなに怖いものなのでしょうか。



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行灯がこの仕様に決まるまでは、ほぼ1年をかけて試行錯誤を重ねてきました。

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最初は、本来のロウソクの明かりから始めたのですが、野外に放置する都合、

 
 

LED照明などの人口の明かりに変えざるをえませんでした。

          



 
昨年のホタルの季節には、蛍月亭を中心に設置しました。

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蛍月亭へ固定


 

その時は、蛍への明かりの影響がないようにとLEDロウソクを明かりに使いました。

  

しかし、それではやや明るさ不足で、様々なランタンの類を探し試してみて、

現在のLEDランタンにたどり着きました。


ところがそれも市販の製品のままでは、明かりが白すぎて暖かみに欠けるので、オレンジ色の蛍光マーカーで色を塗ることにしました。
 

さらにホタルの鑑賞期間は梅雨時でもあるため、雨の対策も試行錯誤を繰り返しました。

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初めは、雨が降るたびに行灯にレジ袋をかぶせたりしていました(笑)



 雨の心配があるたびにこのようなことをしていたのでは、
あまりにも手間のかかることなので、

①、厚手の和紙で作成した絵柄デザイン部分をパウチ加工しました。

②、行灯の取っ手部分に傘として屋根を取り付けることにしました。



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この屋根がすべての行灯の数だけ用意できたのは、2017年6月のホタル鑑賞の時からです。

これも、行灯の仕様自体がその都度、試行錯誤を重ねてきたため、取っ手の形などすべてが同じになっていないので、その固定方法も面倒ですが形状の違いに応じて複数の仕様でつくりました。 



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月夜野橋歩道の手すりへ直接縛り付けて固定




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固定用の柱を作成して台の部分にビス止め


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その他細かいことはたくさんあるのですが、まだまだ風雨への耐久性、ロケーションに応じた固定方法など試行錯誤を繰り返していかなければなりません。

太陽=昼の文化に仄かな明かりの夜の文化が対等な地位を取り戻すには、まだまだたくさんの積みかさねを要することなので、こうした仕様やノウハウは、どんどん公開して、積極的に盗んでいただけるものはどんどん利用していただけたらと思います。
 

まだ市販の行灯では野外の使用にも耐えられるような納得のいくものはないので、それだけの手間をかけてでも私たちは改良を重ねてつくり続けていくことが不可欠なのです。

今後も改良を重ね、随時こちらに書き加えていくことにします。 

 

 


ホタルの里の「月夜野百八燈」は、7月2日(日)まで
7時〜9時頃の間、
矢瀬親水公園上から月夜野郷土資料館前までの区間点灯しています。

月夜野百八燈 タテ 改訂
 



其子等に捕へられむと母が魂(たま)蛍と成りて夜を来たるらし  
窪田空穂



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山の端のほのめくよひの月かげに
     光もうすくとぶ螢かな
          道元




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音もせで思ひにもゆる蛍こそなく虫よりもあはれなりけれ
                       源重之




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       蛍火の今宵の闇の美しき   高浜虚子




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これまでは経済の時代でしたが、これからは哲学、心理学、倫理学の時代になると言われます。

確かにその通りに違いありませんが、私たちの住む月夜野では◯◯学と言っているうちは、人に伝わるものではないと考え、「物語のいでき始めのおや」と題してこの土地の物語を少しずつ育てながら書き始めているところです。

それは「哲学」や「心理学」、「倫理学」と並ぶような「文学」ではなくて、そこに暮らす人びとの日常の「ものがたり」として語られることを目指したものです。



    学問は尻からぬけるほたる哉    蕪村


蛍

「月夜野百八燈」の行灯の明るさも、そうした「ものがたり」を生みそだてるために、白色系の明かりではなく、暖色系の仄かな明かりで「月」と「蛍」が主役になる環境を目指したものです。 

「月夜野百八燈」設置10日目にして、初めて行灯の補修を行いました。

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よく雨風に耐えてくれていると思っていましたが、 初期に作成した行灯は木工ボンドの接着のみの部分があり、湿度、気温、日差しなどの変化にさらされると、当然傷むことが予想されていました。

点灯時に気付いたので、出直して工具を持ってきて2、3台補修をしました。

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昨夜は飲み会が盛り上がってしまい、行灯の消灯が午前零時をまわってしまいました。


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するとこの場所にもホタルが一匹、す〜と飛んでいました。


零時をまわると、まわりの駐車場の明かりなども消え、車の通りもほとんどありません。


そんな夜の闇は、先の東京オリンピックのころまでは当たり前のようにあった世界です。


普通の家のなかにまで、す〜とホタルが入ってくるまちを取り戻すこと、

それは決して夢物語ではありません。



       すっと来て袖に入たる蛍哉

                           杉 風

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