「月夜のタヌキ」プロジェクト

物語のいでき始めのおや 〜月夜野アーカイブ〜

「物語のいでき始めのおや」とは、源氏物語のなかにでてくる竹取物語のことを指したことばです。わたしたちは、「月(ツキ)」と「運」だけで勝負できるまち月夜野から、たくさんの物語の生まれるこの地の風土を発見し、また育てていくことを目指しています。 (「みなかみ〈月〉の会」と「月夜のタヌキ会議」による共同ブログです)

カテゴリ:こころの月百景 > 月夜野百八燈

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今年は28日(木)が十五夜で、ストロベリームーンともいわれる月の日だったようですが、ホタルを守る会の人たちは、やはり主人公であるホタルを引き立てるには、月は出ていない方が良いと強調されていました。

その日は、雲がかかっていたにもかかわらず、雲を突き抜けて地上を照らす明かりもかなり感じられましたが、深夜になってようやく雲も切れて満月が顔を出しました。

奥の保護地の林の中だけは、月明かりが差し込む余地がなく、暗闇に飛ぶホタルをしっかり見ることができるのですが、それでも木々の葉っぱの隙間から照らす明かりはかなりの強さを感じるものです。

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しかし、あくまでも月とホタルを話題にしたい「月夜野百景」みなかみ〈月〉の会としては、次のことを強調せずにはいられません。


月の出時刻というのは日々50分くらいずつ遅れていくので、
特に満月以降の月の出は、一日一日、夜遅い時間に出るように変わっていきます。

したがって、ホタルの出没の多い時間帯である8時から9時は、まだ月の出前なので
安心して暗がりの中でホタルを楽しむことができるのです。

さらに十分楽しんだ帰り道の頃に、
東の三峯山や見城山から昇る月を見ることができます。

厚い雲がなければ、ちょうど帰り道の足元を月が照らしてくれて、安心して歩くこともできます。



そして何よりも強調したいのは、
月明かりに照らされた山や木々のシルエット
田んぼに映る木々の影などの美しさです。

そこに、す〜とホタルが飛ぶ光が見えるのです。



    月夜のこころ百景 100番

      蛍火の今宵の闇の美しき    高浜虚子



写真の腕がなく、その雰囲気をお見せすることができませんが、その神秘な景観は、
自然に寄り添って暮らす世界の人々には、言い知れない高揚感をもたらしてくれます。

今週末はそんなチャンスに恵まれる時期でもあるので、ぜひ月夜野ホタルの里の夜道をゆっくりと歩いてみてください。




今年のホタルの発生数


                   



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月夜野の月の出目安時刻

6月29日(金)十六夜                                                20:30      

6月30日(土)十七夜  立待月                                 21:00      ホタルを見てから月の出

7月1日(日)十八夜    居待月            21:30      ホタルを見てから月の出

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7月2日(月)十九夜     寝待月                                22:00      ホタルを見てから月の出

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7月3日 (火)二十日月 更待月                                23:00      ホタルを見てから月の出

7月4日 (水)二十一夜                                              23:30


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W杯を見ていたら行燈の消灯時間がまた10時過ぎになってしまいました。

急いて上がろうとしたら、埼玉から来たというカップルがこれから奥へ登って行くところ。

暗闇の中で、月夜野の地名由来と月夜のこころ百景のパンフを渡し、ホタルや月のお話をしながら一緒に上に登りました。

月が雲にかかっている割には、妙に明るいと思っていたら、帰りの下るときには雲が切れて月が出てきました。

今日は宵待月、ほぼ真ん丸。

明日が十五夜です。



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この時とばかりに、行燈の歌や俳句の説明をしながら、今週末あたりになるピーク時のホタルの様子などを話し、お二人の時間を邪魔して歩いてきてしまいました。

他所のホタルの観賞地と違う、およそ2キロのこの夜道を歩く楽しさを伝えたいばかりに、ちょっとしゃべりすぎたでしょうか?

でも観賞地へ至る道のりの行燈のある区間、約30分くらいはいろいろ解説が入っても良いのではないでしょうか。



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一般的にホタルの観賞だけを考えれば、
夜の月明かりがある日よりは新月や曇りの日のほうが、
ホタルを見るには適しているといわれます。


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ここ月夜野のホタル鑑賞地でも、どちらかというと背景が野山の場所よりも
森や林の中で背景が真っ暗な場所の方が
ホタルは見やすいかと思われます。

そうした中でも林の中にある保護地でホタルの乱舞する姿は圧巻です。 

(下の案内図の一番右上の保護地がそんなホタルの乱舞が見れる場所です) 
ホタル行燈設置地図
(月夜野ホタルを守る会詰所の案内看板の図を加工させていただました。)



ですが、

月夜野のホタル里遊歩道の何よりの魅力は、

田んぼや小川、さらには池の横をめぐり

暗がりの山道を行燈のほのかな明かりに導かれて

ときには、向かいの見城山にかかる月を眺め

月影に浮かぶ木立のシルエットを楽しみながら

およそ2kmの遊歩道の区間、

バリエーションに富んだ夜道を歩けることにあります。


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心細い山里の夜道

親子で手をつなぎ

おばあちゃんに手をひかれ

疲れたらお父さんの肩車で

あるいはカップルで手をつなぎ

恐る恐る歩きながらも

月の出ている日には

その月明かりのありがたさが身に沁みるものです。





他人はおそろし闇夜はこわい。

親と月夜はいつも好い。


           (守子唄)



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さすがに、満月の夜ともなると

明るすぎるほどの夜景になりますが、

かといってホタルの出が減るというわけでもありません。



さらに、まわりはカエルの大合唱。


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ときには足を止めて、

行燈に書かれた短歌、俳句、子守唄などにも

目を向けてみてください。



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此ほたる田ごとの月にくらべみん   芭蕉



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できれば、昼間の里の風景も是非楽しんでみてください


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ただの里の風景が

いかに変化に富んだものであるか

いつまでも見ていて飽きることがありません。




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全国各地にあるホタルの里の中でも

わざわざ県外からここ月夜野のホタルの里を選んできてくれる人のなかには

「月夜野」という地名の響きに

なんとなくひかれて来ている方も多いことと思います。

そうした漠然とした期待にも応えられるよう

守る会の皆さんをはじめ様々な人たちが連携して環境も整備しています。

行燈「月夜野百八燈」も3年目にしてようやく

本来設置したかった場所に置かせていただくことができ、

小さな一歩を踏み出すことができました。

「月」と「ホタル」のほのかな明かりがつくりだす里の風景。

それを守り育て続けるのは、まだ先の長〜い道のりです。


月夜野百八燈 改訂




今年のホタルのピークは6月下旬から7月上旬の頃かと思われます。

ちょうど満月から徐々に月が欠けていく時期にあたります。

そのころは、遅い時間ほど
向かいの見城山にかかる月を美しく見ることができます。

以下の月暦をご参照ください。



                 三峰山方面からの月の出時刻目安
6月21日(木)八日月 夏至          13:30

6月22日(金)九日月                                               14:30

6月23日(土)十日月 ホタル観賞の夕べ               15:30

6月24日(日)十一夜                                                16:00

6月25日(月)十二夜                                                17:00

6月26日(火)十三夜                                                18:00

6月27日(水)十四夜 宵待月                                  18:30

6月28日(木)十五夜                                                19:30

6月29日(金)十六夜                                                20:30      ホタルを見てから月の出

6月30日(土)十七夜  立待月                                 21:00      ホタルを見てから月の出

7月1日(日)十八夜    居待月            21:30      ホタルを見てから月の出

7月2日(月)十九夜     寝待月                                22:30      ホタルを見てから月の出

7月3日 (火)二十日月 更待月                                23:00      ホタルを見てから月の出

7月4日 (水)二十一夜                                              23:30

7月5日 (木)二十二夜                                              24:00

7月6日 (金)二十三夜 下弦の月                              0:30

7月7日 (土)二十四夜 七夕 SLホタル                  1:00

7月8日 (日)二十五夜                                                1:30

7月9日 (月)二十六夜                                                2:00

7月10日 (火)二十七夜                                              3:00

7月11日 (水)二十八夜                                              4:00

7月12日 (木)二十九夜 晦日

7月13日 (金)朔 新月

7月14日 (土)二日月

7月15日 (日)三日月
 

今年のホタルの発生状況

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今日は久しぶりの青空。

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アオサギも飛んでいました。

無風状態でもゆっくり滑空できる姿は、ワシやタカ以上に優雅。

大きさの割に体重も軽いのでかなりの省エネ設計です。





今夜は月も見れるでしょうか。

六日月は上弦の月の直前の形です。

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      もし見えればこんな形ですが、現在は薄く雲がかかってしまってます。

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      此ほたる田ごとの月にくらべみん    芭蕉






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一応、試験点灯をしてみました。
(というか、明日からの日程を今日からと勘違いしたのですがw)


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これまでとても暗かった山道に
ほのかな明かりを灯すことができてほっとしました。


月夜野百八燈 改訂




今年はほんとうに早いようで、

嶽林寺前では既にたくさん見ることができました。

発生状況


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ホタル観賞の案内はこちらのサイトをご参照ください
月夜野ホタルの里の見頃や時間帯は?混雑予想や駐車場情報も!


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「月夜のこころ百景」の中でもお気に入りのひとつ

他人はおそろし、やみ夜はこわい
親と月夜はいつもよい


これは子守唄として歌われているものらしいのですが、
正確な出典はわからないまま使用していました。

子守唄の中でもこの表現から想像されるように、
これは親が子に対して唄うものではなく
やや年長の子ども自身が、幼い子を背負いながらうたっているものです。

年でいえば十二、三歳といったところでしょうか。

姉が妹や弟を背負うこともあったでしょうが、
「親と月夜はいつもよい」という表現は
むしろ幼くして奉公などに他所に出された子どもが
他人の子供をあやしながら親もとに早く帰りたい、
家に帰りたいとの寂しい心持ちを吐露してうたっているものです。

きっと多くは子どもの即興で
様々なバリエーションでうたわれていたことでしょう。


この歌が広く全国に知られるようになったのは、
おそらく下の写真、柳田國男『火の昔』の中の冒頭
「やみと月夜」で取り上げられたことによるのではないでしょうか。

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本書が出たのは昭和18年
本土空襲が本格化するのは翌年末からですが、

闇と明かりの歴史を語る本書は、
灯火管制が強まる時期に、闇夜の怖さや
学童疎開が増える時期にひとしお
当時の人々に深く受け入れられたことと思います。

現在は、写真と同じ角川文庫で新装丁のものが出ています。




でも原曲の全歌詞はどうなっているのかと検索してみたら
なんと・・・・



今朝の寒さに 親なら子なら 行くな戻れと ゆてくりょに
 他人おそろし 闇夜はこわい 親と月夜は いつもよい
 おどんが死んだら 誰が泣いてくりょか 前の松山 蝉が鳴く
 蝉じゃござらぬ 妹でござる 妹泣くなよ 気にかかる
 おどんがごたってにゃ もの言うな名言うな 情けかくるな 袖ひくな
 情けかくっちゅうて 籾のぬかかけて さまの情けは かゆござる
 こんな所に なぜ来たしらぬ 親が行くなと 止めたのに
 親はどこかと 豆腐にきけば 親は畑に 豆でおる
 おどんが父さんな 桶屋でござる 朝はとんとことんとこ 輪をたたく
 ねんねした子に 香箱七つ 起きて泣く子に 石七つ
 あの子にくらし わし見て笑う わしも見てやろ 笑てやろ
 あの子偉そに 白足袋はいて 耳のうろに あかためて
 山でこわいのは さるとりいばら 里でこわいのは 守りの口
 おどんが憎けりゃ 野山で殺せ 親にそのわけ 言うて殺せ
 おどんがこの村に 一年とおれば 丸木柱に 角がたつ
 丸木柱に 角がたつよりも 早くいとまが 出ればよい
 おどんがおればこそ こん村がもむる おどんが行ったあとで 花がさす
 花は咲いても ろくな花はさかん 手足かかじる いげの花


  四浦春山の子守唄です。
全国的にうたわれている「五木の子守唄」はこの唄が原曲となっていると言われています。
(ねんねこ通信79号 より
http://komoriuta.cside.com/nenneko/nekoview.cgi?mode=V&num=82

 



「五木の子守唄」の原曲がとても深い悲しみに満ちたものと聞いてはいましたが、
この詩を見てしまうと、悲しいイメージばかりが
とても重くのしかかってきますね。

それだけに闇が深ければふかいほど、
ほのかな明かりに感じるあたたかさが際立ちます。



余談ながら「さるとりいばら」って、よく服にからみつく厄介なものですが、
そんなに怖いものなのでしょうか。



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行灯がこの仕様に決まるまでは、ほぼ1年をかけて試行錯誤を重ねてきました。

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最初は、本来のロウソクの明かりから始めたのですが、野外に放置する都合、

 
 

LED照明などの人口の明かりに変えざるをえませんでした。

          



 
昨年のホタルの季節には、蛍月亭を中心に設置しました。

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蛍月亭へ固定


 

その時は、蛍への明かりの影響がないようにとLEDロウソクを明かりに使いました。

  

しかし、それではやや明るさ不足で、様々なランタンの類を探し試してみて、

現在のLEDランタンにたどり着きました。


ところがそれも市販の製品のままでは、明かりが白すぎて暖かみに欠けるので、オレンジ色の蛍光マーカーで色を塗ることにしました。
 

さらにホタルの鑑賞期間は梅雨時でもあるため、雨の対策も試行錯誤を繰り返しました。

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初めは、雨が降るたびに行灯にレジ袋をかぶせたりしていました(笑)



 雨の心配があるたびにこのようなことをしていたのでは、
あまりにも手間のかかることなので、

①、厚手の和紙で作成した絵柄デザイン部分をパウチ加工しました。

②、行灯の取っ手部分に傘として屋根を取り付けることにしました。



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この屋根がすべての行灯の数だけ用意できたのは、2017年6月のホタル鑑賞の時からです。

これも、行灯の仕様自体がその都度、試行錯誤を重ねてきたため、取っ手の形などすべてが同じになっていないので、その固定方法も面倒ですが形状の違いに応じて複数の仕様でつくりました。 



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月夜野橋歩道の手すりへ直接縛り付けて固定




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固定用の柱を作成して台の部分にビス止め


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その他細かいことはたくさんあるのですが、まだまだ風雨への耐久性、ロケーションに応じた固定方法など試行錯誤を繰り返していかなければなりません。

太陽=昼の文化に仄かな明かりの夜の文化が対等な地位を取り戻すには、まだまだたくさんの積みかさねを要することなので、こうした仕様やノウハウは、どんどん公開して、積極的に盗んでいただけるものはどんどん利用していただけたらと思います。
 

まだ市販の行灯では野外の使用にも耐えられるような納得のいくものはないので、それだけの手間をかけてでも私たちは改良を重ねてつくり続けていくことが不可欠なのです。

今後も改良を重ね、随時こちらに書き加えていくことにします。 

 

 


ホタルの里の「月夜野百八燈」は、7月2日(日)まで
7時〜9時頃の間、
矢瀬親水公園上から月夜野郷土資料館前までの区間点灯しています。

月夜野百八燈 タテ 改訂
 



其子等に捕へられむと母が魂(たま)蛍と成りて夜を来たるらし  
窪田空穂



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山の端のほのめくよひの月かげに
     光もうすくとぶ螢かな
          道元




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音もせで思ひにもゆる蛍こそなく虫よりもあはれなりけれ
                       源重之




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       蛍火の今宵の闇の美しき   高浜虚子




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