「月夜のタヌキ」プロジェクト

物語のいでき始めのおや 〜月夜野アーカイブ〜

「物語のいでき始めのおや」とは、源氏物語のなかにでてくる竹取物語のことを指したことばです。わたしたちは、「月(ツキ)」と「運」だけで勝負できるまち月夜野から、たくさんの物語の生まれるこの地の風土を発見し、また育てていくことを目指しています。 (「みなかみ〈月〉の会」と「月夜のタヌキ会議」による共同ブログです)

カテゴリ:月夜野百景 >

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10時にはもう西の山に沈みます。



てる月を弓張りとしもいふことは山辺をさしていればなり

                  凡河内躬恒 

『大和物語』132段。
醍醐天皇に「なぜ月を弓張というのか」と問われ、
即興で躬恒が応じた歌。 

(写真の七日月では、まだ弓張月というまで張られていません。
通常は上弦の半月をさしていいます。)


 射ると入るをかけたシャレですが、
弓を射る月のかたちの向きで上弦であるか、下弦の月であるかの判断ができます。
はたして、躬恒が詠んだ日の月をみてそこまでの意味も含ませていたかどうか。

天皇は大いにめでられほうびに白絹の衣をたまわった。とあります。
躬恒はそれを肩にかけ、ふたたび即興で

「白雲の このかたににしも おりゐるは あまつ風こそ 吹きてきぬらし」

と…吐く息、吸う息が歌になる人であったらしい。
それも歌のていをなしていた即興歌人というか…

「古今集」撰者の一人名誉の歌人でも身分は低く、生没もその祖父の名もわからなかったということです。
でも歌の姿はすごいですね。
 

2016年6月の十五夜の日は、18日(月)ですが月齢はまだ13.7。

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この写真は18日(月)午前0時のもの

月齢が15の望月=満月になるのは、翌々日の20日(水)です。(月齢15.7)

19日の月齢は14.7なので、15になるのがギリギリ20日に入ってしまいます。
したがって十五夜の日からは2日ずれてしまうのです。

暦上の十五夜は、新月から15日目の日という意味なので、必ずしも天文学上の月齢(月の形の満ち欠けの状態)の満月とは一致せず、このような開きが出てしまうことがあるのです。 

わずかな違いなので、気づかないことも多いかもしれませんが、十五夜の日のお月さんがまん丸の満月ではないことは、けっこう多いものです。 

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月草(ツユクサ)が文字通り朝露に濡れていました。

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月草に 衣ぞ染むる 君がため 斑の衣(まだらのごろも)(す)らむと思ひて

                   
作者不詳 巻7‐1255


月草に 衣色どり 摺らめども うつろふ色と 言ふが苦しさ

                   
作者不詳 巻7‐1339 





「月草に衣ぞ染むる」といいますが、
名前は思い出せませんが、ツユクサの花のもっと大きい植物があります。

その大きな花から青色を搾り取り、それを何度も和紙にしみ込ませて、
友禅染などの下絵書きに使うそうです。

水に簡単に溶けることから、下絵は完全に消え去るというわけです。


ツユクサの露は、写真のように草に露がかかる姿かとも思いますが、
この青色を取り出す行程をみると、
花そのものにいかに多くの水分が含まれているかがわかります。





おなじくは我が身も露と消えななむ消えなばつらき言の葉も見じ
              (新古1343)

どこから見ても、はかなさがつきまといます。

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翌日の妻の家から

朝(あした)咲き 夕(ゆふへ)は消ぬる 月草の 消ぬべき恋も 我はするかも

                   
作者不詳 巻10 2291 

月草の 仮れる命に ある人を いかに知りてか 後も逢はむと言ふ

                   作者不詳 巻11 2756

うちひさす 宮にはあれど 月草の うつろふ心 我が思はなくに

                   作者不詳 巻12 3058

百に千に 人は言ふとも 月草の うつろふ心 我れ持ためやも


                   作者不詳 巻12 3059

蛍の夕べの期間、土日だけ蛍月亭に行灯を灯しています。

6時半ころに点灯に行ったらちょうどお月様が出ていて
田んぼに映りこんでいました。


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ちょうど初めて来たらしい方が蛍月亭で暗くなるのを待っていました。

このときとばかりに、行灯の明かりを灯しながら、
そのひとつにある芭蕉の田毎の月の句を紹介しました。

ところが、どうもお客さんは蛍の方に興味の中心があるようで、
芭蕉の句や田んぼに映っている月には、いまひとつ興味をもってもらえませんでした。


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でも、行列になるホタル祭りの時よりも、
ちょうど今ごろの方がゆっくりホタルを鑑賞でき、
素敵な時間が過ごせることと思います。

どうぞゆっくりと楽しんでいってくださいね。



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