「月夜のタヌキ」プロジェクト

物語のいでき始めのおや 〜月夜野アーカイブ〜

「物語のいでき始めのおや」とは、竹取物語のことを指した源氏物語のなかにあることばです。私たちは、「月(ツキ)」と「運」だけで勝負できるこのまち月夜野に、たくさんの物語を育てていきます。2016年、月夜野が日本百名月に登録されたことを機に、みなかみ〈月〉の会を結成しました。

カテゴリ: こころの月百景

Tさんから突然電話がかかってきました。

先日の会議のこととばかり思ったら、月のことを教えて欲しいとのことでした。

きっとこの月を見てのことだったのでしょう。

上弦・下弦の月の違い、月と太陽の関係などの一通りの話になり、
そうしたことはお渡ししたリーフレットに・・・と言いかけましたが、
やはり言葉による説明に勝るものはないようです。


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あしびきの 山より出づる 月待つと

                人には言ひて 妹待つ吾を


                                                 万  巻十二 - 3002 


(3002と3276の違いがわかりません。)
 



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行灯がこの仕様に決まるまでは、ほぼ1年をかけて試行錯誤を重ねてきました。

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最初は、本来のロウソクの明かりから始めたのですが、野外に放置する都合、

 
 

LED照明などの人口の明かりに変えざるをえませんでした。

          



 
昨年のホタルの季節には、蛍月亭を中心に設置しました。

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蛍月亭へ固定


 

その時は、蛍への明かりの影響がないようにとLEDロウソクを明かりに使いました。

  

しかし、それではやや明るさ不足で、様々なランタンの類を探し試してみて、

現在のLEDランタンにたどり着きました。


ところがそれも市販の製品のままでは、明かりが白すぎて暖かみに欠けるので、オレンジ色の蛍光マーカーで色を塗ることにしました。
 

さらにホタルの鑑賞期間は梅雨時でもあるため、雨の対策も試行錯誤を繰り返しました。

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初めは、雨が降るたびに行灯にレジ袋をかぶせたりしていました(笑)



 雨の心配があるたびにこのようなことをしていたのでは、
あまりにも手間のかかることなので、

①、厚手の和紙で作成した絵柄デザイン部分をパウチ加工しました。

②、行灯の取っ手部分に傘として屋根を取り付けることにしました。



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この屋根がすべての行灯の数だけ用意できたのは、2017年6月のホタル鑑賞の時からです。

これも、行灯の仕様自体がその都度、試行錯誤を重ねてきたため、取っ手の形などすべてが同じになっていないので、その固定方法も面倒ですが形状の違いに応じて複数の仕様でつくりました。 



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月夜野橋歩道の手すりへ直接縛り付けて固定




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固定用の柱を作成して台の部分にビス止め


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その他細かいことはたくさんあるのですが、まだまだ風雨への耐久性、ロケーションに応じた固定方法など試行錯誤を繰り返していかなければなりません。

太陽=昼の文化に仄かな明かりの夜の文化が対等な地位を取り戻すには、まだまだたくさんの積みかさねを要することなので、こうした仕様やノウハウは、どんどん公開して、積極的に盗んでいただけるものはどんどん利用していただけたらと思います。
 

まだ市販の行灯では野外の使用にも耐えられるような納得のいくものはないので、それだけの手間をかけてでも私たちは改良を重ねてつくり続けていくことが不可欠なのです。

今後も改良を重ね、随時こちらに書き加えていくことにします。 

 

 


ホタルの里の「月夜野百八燈」は、7月2日(日)まで
7時〜9時頃の間、
矢瀬親水公園上から月夜野郷土資料館前までの区間点灯しています。

月夜野百八燈 タテ 改訂
 



其子等に捕へられむと母が魂(たま)蛍と成りて夜を来たるらし  
窪田空穂



30




山の端のほのめくよひの月かげに
     光もうすくとぶ螢かな
          道元




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音もせで思ひにもゆる蛍こそなく虫よりもあはれなりけれ
                       源重之




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       蛍火の今宵の闇の美しき   高浜虚子




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これまでは経済の時代でしたが、これからは哲学、心理学、倫理学の時代になると言われます。

確かにその通りに違いありませんが、私たちの住む月夜野では◯◯学と言っているうちは、人に伝わるものではないと考え、「物語のいでき始めのおや」と題してこの土地の物語を少しずつ育てながら書き始めているところです。

それは「哲学」や「心理学」、「倫理学」と並ぶような「文学」ではなくて、そこに暮らす人びとの日常の「ものがたり」として語られることを目指したものです。



    学問は尻からぬけるほたる哉    蕪村


蛍

「月夜野百八燈」の行灯の明るさも、そうした「ものがたり」を生みそだてるために、白色系の明かりではなく、暖色系の仄かな明かりで「月」と「蛍」が主役になる環境を目指したものです。 

「月夜野百八燈」設置10日目にして、初めて行灯の補修を行いました。

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よく雨風に耐えてくれていると思っていましたが、 初期に作成した行灯は木工ボンドの接着のみの部分があり、湿度、気温、日差しなどの変化にさらされると、当然傷むことが予想されていました。

点灯時に気付いたので、出直して工具を持ってきて2、3台補修をしました。

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昨夜は飲み会が盛り上がってしまい、行灯の消灯が午前零時をまわってしまいました。


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するとこの場所にもホタルが一匹、す〜と飛んでいました。


零時をまわると、まわりの駐車場の明かりなども消え、車の通りもほとんどありません。


そんな夜の闇は、先の東京オリンピックのころまでは当たり前のようにあった世界です。


普通の家のなかにまで、す〜とホタルが入ってくるまちを取り戻すこと、

それは決して夢物語ではありません。



       すっと来て袖に入たる蛍哉

                           杉 風

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ホタル舞うの季節の「月夜野百八燈」

みなかみ〈月〉の会の企画で、みなかみまちづくり協議会月夜野支部で昨年から制作したものを、今年度から矢瀬親水公園上から月夜野郷土資料館前までの区間の歩道フェンスへの設置許可をいただき、ホタルの季節と仲秋の名月の時期に展示します。


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15日に50台だけ設置が終わりました。
まだ30台残ってますが、とりあえずの形はできました。

月夜野のホタルの季節の間の6月15日(木)から7月2日(日)までの期間、展示します。
明かりの点灯は、夜7時から9時半ころまでの時間を予定しています。

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ほのかな明かりのもと、

おばあちゃんが孫の手をひいて、

ぽっくらぽっくらホタルと月のまちを楽む姿、

そんな光景をイメージしてはじめました。

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昨年1年間の試行錯誤を経て、ようやく納得のいく設置スタイルを得ることができました。

ここからホタルの観賞地域までは少し歩くことになりますが、
これによって6月24日(土)矢瀬親水公園で行われる「月夜野ホタル観賞の夕べ」で、
シャトルバスを利用する人が少しでも減らすことができればとも思います。


行燈には「月」と「蛍」にかかわる短歌や俳句、川柳などが書かれているので、
ひとつひとつ見ながらゆっくりと楽しんでいただければ幸いです。

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     かたまるや散るや蛍の川の上    夏目漱石

  
これは行灯には入っていませんが、漱石も子規のとなりに居ただけあって
なかなか良い句を出していますね。

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昔の明かりは、ほとんど夜の暮らしには不十分なレベルでした。


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だからこそ、そこには本物の夜、当たり前の夜がありました。

 
 

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確かに闇を明るく照らすことは、豊かさの象徴であったといえます。

でも現代の明かりを半分に減らすことで、心身の豊かさは、確実に増すことができます。


月夜野百八燈 タテ 改訂

 





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行燈を月の夜にせんほとゝきす

                 嵐雪



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幸田露伴『評釈芭蕉七部集』の中の「炭俵」よりの句です。

露伴の評釈は以下のように続いてます。

後には室内に置ける燈を行燈といふやうになりたれども、
此頃は猶字のごとく提げて歩くものをしか言へるにて、
行燈の暗き夜なるより、
古く月に縁有るほとゝぎすのことを云出して、
一句の趣向を立てたるなり。



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「月夜野百八燈」のデザインコンセプトに間違いはなかった。

「月夜野百景」
http://www.tsukiyono100.com/moon

月夜野百八燈 タテ 改訂


30年くらい前に出会い、
20年くらい前にようやく古書で購入し、
ずっと棚の肥やしになっていた本。
 
ようやく熟成して味わえる幸せ。



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芭蕉は渋滞せず、執着せず、山を出蔓の水の、茂林深谷の間を行き、
平野曠野の中を流れ、觸處に景をなして趣を變ずるが如く、
峰にかかる雲の暁天に紫を横たへ、夕陽に紅を暈して、
少時に態を換え観を異にするが如し。
 
春の日は冬の日に異なり、曠野は春の日に異なり、
ひさごはまた曠野に異なり、猿蓑はまたひさごに異なり、
炭俵また猿蓑に異なり、續猿蓑また炭俵に異なれるを看て知るべし。

猿蓑は好き集なり、されど猿蓑のみに芭蕉の眞 正體の籠れるが如くいふは、
却って芭蕉を累するのあやまりに墜ちん。 

 

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