冬になると空気が冴えわたるので、中秋の名月の季節に劣らず
この時期は月がとてもきれいに見えます。

そんなときの話かどうかわかりませんが、旧新治村(みなかみ町)には、
あんまり月がきれいなので、大根と人参がもっと近くで月がみたいと、
月を見に山にのぼる話が伝えられています。

それは地域の民話や伝承を数多く取材された持谷靖子さんによって知ることができた話ですが、
出典はもう入手できなくなってしまった本であるため、以下に転載させていただきます。

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むかし、あったと。
大根と人参といたそうだ。

ある月夜の晩、月があんまりきれいなんで大根と人参が月見をしていた。
ところが、もっと近くで月を見たらもっときれいだんべと相談して、
山のてっぺんに登って月を見ることにした。

そうしてどんどん山を登って行くうちに、とうとうてっぺんまで来てしまった。
上ばっかり見ていたので気がつかなかったけど、登ってみたら
下にもおりられないほど、急な山だったと。

人参と大根はふもとの村に、
「助けてくれーっ」
ってどなったら、ふもとの村の爺さんが来てくれて大根だけ助けたんだと、
人参は怒って真っ赤になっちまった。

爺さんは、
「大根おろしはあるが、人参おろしなんてないのが相場だ」
って言ったんだと。

そしたら婆さんが、
「おやげねえ」
と人参を助けに行って、
「人参は紅葉おろしだ」
って言ったとさ。          (宮崎茂樹さん談)

 
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  持谷靖子編『関所の爺さま 猿ヶ京のおもしろ民話』あさを社