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今年の東京では、天候不順が続いたために、
例年よりも長く桜の開花を楽しめたといます。

ところが月夜野は、17日(月)頃に一気に咲き出した桜が、
昨日からの強風にあおられて、まだ盛りの花びらが
情け容赦なく引きちぎられてしまいそうな陽気になっています。

とても心配していましたが、
20日朝は、まだしっかりと咲いてました。

散るときは早いものですが、
盛りの内はなかなかたくましく咲き続けるものですね。

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かつては桜といえば、山桜でした。

吉野の桜も、西行が詠んだ歌も、みな山桜です。

したがって花見といえば、秀吉の醍醐の花見も含めて
里で見る桜ではなく山へ登ることが普通でした。


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山の名優、カスミザクラ(沼田市白沢の石割桜)
http://blog.goo.ne.jp/hosinoue/e/34f3d3ef3483e9b13d4badca82c0f794

それが江戸時代になってソメイヨシノなどが盛んに町に植えられるようになって、
現在のような花見の姿が定着したようです。



その元をたどると、

さくらの「さ」は、「サ神様」(田の神様)の意味で、田植えの「早乙女」の「さ」と同じ。
「くら」は、神の憑代としての台座「御座」(みくら)の意味で、
この二つが合わさって「さくら」になったという説があります。

農耕の神(サ神)が田植えの頃、
山から降りてきて桜の木に取り憑いて、
収穫期まで見守る、

あるいは山の桜の咲き具合を見て
その年の豊作を予測していた

などとも言われます。



今年(2017年)は4月25日ごろから散り始めました。

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春風の 花を散らすと 見る夢は 覚めても胸の 騒ぐなりけり
        『山家集』 西行


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桜が散ると、新緑シーズンに突入し、
田植えの季節となります。

新緑を背景に桜を見ることができたら、どんなに素晴らしいだろうなんて思いましたが、
それはあまりにも贅沢な望み。

と、思ったら

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かろうじて。



桜は、山であろうが里であろうが、その美しさにはいつでも圧倒されますが、
ライトアップされたり、提灯をぶら下げられたりしていない
自然の桜こそ、美しくもありまた大切にもしていきたいものです。






「月夜野百景」HPの「春」のページ
https://www.tsukiyono100.com/spring

季節の花の写真を差し替えました。